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和室のここって何て言うの?「和室の名称」について
2023.1.25マメ知識
敷居が高いってなんのこと?
敷居が高いというと「行きにくい」とか「上がりにくい」とか面会に気後れするような意味合いを指し、その気後れの理由は不義理や面目ないことというものが当たります。また敷居を用いた語句として「敷居をまたぐな」という表現も耳にすることがあります。こちらは「入って来るな」や「近寄るな」という意味で用いられていますが、両者の表現にある敷居という言葉は何を指しているかご存知でしょうか。
敷居と鴨居
敷居よりは耳にすることは少ないですが鴨居という言葉もみなさん聞いたことがあると思います。実はこの「敷居」と「鴨居」は二つでセット。和室の仕切りに用いられる障子や襖のレール部分を指す言葉です。
木枠のレールの上部を「鴨居」と呼び、下部を「敷居」と呼びます。入室時にはこの敷居をまたぐことから、「敷居が高い」や「敷居をまたぐな」という表現を用いるのです。
敷居以外にもこういった慣用句に用いられている和室の用語があります。
壁に耳あり障子に目あり
密室で話をしていても誰かが壁に耳を当て、障子から覗いている様から、秘密はもれやすいという意味を表します。
畳の上の水連
畳の上で水泳の練習をするように、実際の現場から離れた形ばかりの学習では役に立たないということを表します。
起きて半畳、寝て一畳
座って過ごすには一畳の半分、寝る際は一畳で十分ということから、清貧の姿勢を表します。
などなど
和室の名称ついて
和室にはそれぞれの部位に名称がつけられていますが、敷居や床の間のように耳にしたことがあるものもあれば、聞きなじみのないものまであります。ここで簡単な図を見ながら、それぞれの名称とその役割を紹介いたします。
欄間
欄間は鴨居と天井の間に取り付けられ、採光や通風といった機能を担います。このイラストでは障子欄間という、障子のように開閉ができるものですが、欄間は種類とともにデザイン性が豊富な部位であり、機能性よりもその意匠性に特長と価値を持っています。
長押
長押は構造の強化のため柱間を渡す横木の事です。化粧を施すことで装飾としての機能を持たせるほか、ハンガー掛けとして用いることもあります。近年では後者の機能が注目され、洋室でも長押を簡易的に取付けて、ハンガーフックや壁面ディスプレイとして用いることがあります。ビジネスホテルの居室にも洋服掛けとしてよく取り付けられています。
鴨居
鴨居は障子や襖を支えるレール部の上側を指します。
敷居
敷居は鴨居とは反対にレール下部の木材を指します。
障子
障子は間仕切りとし用いられる開閉式の戸のこと。格子状に組んだ木枠に貼り合された和紙が光を和らげて通すため、室内に心地よい明りを取り込むことができる。
書院
書院とは僧侶の書斎として用いられた設備で勉強机をイメージして頂くと良いかもしれません。幅は一間ほどのものが多く、もともと地袋のような収納はなく膝を入れることができるように空いていたそうです。室町時代には学問をする場所として学問所と呼ばれていました。
書院欄間
書院の上部に設けられた欄間のことです。この欄間は花格子を正式な様式とし、その他デザイン性に富んだものが採用される。
書院障子
書院障子が設けられる開口部は書院窓と呼ばれ、そこから日の光や月の光を取り入れて書物を読むための明りとしていました。そこに取りつけられた障子を書院障子といい、一間の幅に4枚建ての通常より細い障子が用いられます。
書院甲板
書院の机をなす板材です。
地袋
収納用の戸棚、戸袋のなかで地面近くの低い位置に取り付けられるものを指します。
床の間
床の間は来客へのおもてなしとして飾り付けをするディスプレイスペースです。上座に位置する床の間には掛け軸や生け花をはじめ香炉が彩と雅を与え、来客者の目を喜ばせる一角となります。しかし、当然そこには主の感性を吟味する鑑賞者の抜かりない目線が注がれるため、床の間の飾り付けには大変な苦労をすることになります。
床束
床を支えるための束のことです。立足束(たたらづか)とも言います。
床板
床の間にはられている板材を床板と呼びます。
床框
床の間を一段上げる段差の蹴込みに用いられる化粧板材のことです。
雑巾摺
壁と床の取り合いに用いられる床の間用の巾木のことです。雑巾で床の間を掃除する際に布目が土壁にかかることを防ぎます。雑巾のほつれや土壁が零れ落ちることを防ぎます。
落掛
落掛は鴨居よりも上の位置に取付けられる横木のことです。床の間の垂れ壁下部を収めるために用いられます。
床柱
床の間に設けられる柱のことで、構造体としての役割を持つほか、用いる木材の形状や形態に伴いその和室の雰囲気を作ることができます。
天袋
床脇の上部に設置された収納用の戸袋のこと。
筆返し
筆返しとは棚の端に取付けられる緩やかな曲線を上向きにもった部材のことで、棚に置いた筆などが転がって板の上から落ちないようにせき止める役割を持っています。
海老束
違棚の上板と下板をつなぎ支えるために用いられる束のことです。
違棚
違棚とは段違いに設けられた造作棚のことです。この段は床の間側を高く設置することが書院造の様式として決まっています。
方立
束と同じ役割を持つもので地袋の設置に用いられる木材を指します。
置敷居
置敷居は床脇の地袋の下部に用いられる横木のことです。
地板
床の間や床脇の床面に用いられる化粧板のこと。
付鴨居
付鴨居は長押と同じ高さに取り付けられる部材で化粧材としての役割を持つものです。
襖
襖は部屋や収納を仕切る引き戸のこと。元々この襖は障子と呼ばれ、現在の障子は「明かり障子」と呼ばれていました。そのため造りも障子と同じように内側が格子状に木材が組まれているなどに通っていますが、障子は和紙が一枚貼りであるのに対し襖は両面を襖紙で覆うため光を通さない点が特徴です。この点により障子と明かり障子という名前の別れがおきています。
覚えられるかと言われたら覚えられない
和室の部位について紹介いたしましたが、私自身も覚えているわけではありません。また、その和室の構成によっては使用されていない部材もあるため、覚えていてもお目にかかることがあるとは限りません。覚えているとちょっと博識っぽいのでかっこいいですが、分からなくても「思い出せないけど、ここもなんか名前あったな・・・」という感覚が大切だと思います。また、さらに加えると襖や障子、欄間などの部位にはそれぞれ種類が豊富にあります。それについてもまた別の機会でご紹介したいと思います。
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