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シロアリはなぜ木を食べる?
2022.3.3マメ知識
はじめに
住まいに被害をもたらす存在として災害の次に皆さんが注意しているのが今回の表題となる「シロアリ」ではないでしょうか。木造で建てられた家屋や蔵はシロアリの大好物。この記事ではシロアリと木の関係性についてご紹介いたします。
シロアリとは
シロアリは「蟻」と名前についていますが、実は本来の蟻とは生態系が異なるもので、ゴキブリの仲間として分類されています。もう、ゴキブリに近い種類と聞いただけで、害虫としての位が上がってしまうほどの嫌悪感を感じざる負えませんが、少しここは我慢してその生態系に迫っていきましょう。
シロアリは社会性昆虫
社会性昆虫とは階層のある集団を作り、まるで人間社会のような構造を持っている昆虫です。その社会では女王や王のようにトップに立つ階級の高い昆虫とそれに使役し役割を果たして構造を作り上げる労働者タイプの昆虫がいます。代表的な例では「蜂」や「蟻」です。シロアリはゴキブリ目でありながらもこういった生態系と小ぶりな見た目から「蟻」という名称が腑に落ちる存在になっているのだと思います。
蟻とシロアリの関係性
蟻はハチ目に分類され、羽のないハチとも呼ばれる社会性昆虫です。一方、シロアリは大変に社会性が発展したゴキブリということになります。名前からは同種に思えてしまいますが実は全く異なる種類の昆虫です。
蟻とシロアリの違い
見た目と生態系は似通っていても蟻とシロアリは別種として大きな隔たりがあります。まず第一の違いは成長の違いです。これは種別を分ける際には大切な要素です。その生物の起源から今までの進化の過程が顕在化される部分となっているからです。
・蟻:完全変態-卵から孵化すると幼虫期を経て「さなぎ」になり、成虫へとなる。
・シロアリ:不完全変態-卵から孵化した幼虫がさなぎにならず、そのまま成虫へとなる。
変態と呼ばれる生物の成長(形態の変化)過程では、蟻が幼虫からさなぎの状態を経て一般的に知られている成虫の形態となるのに対して、シロアリは幼虫から成虫までほぼ形態が変わらずそのまま大きくなったような成長を遂げます。
次に蟻はシロアリの天敵出るという点です。蟻にとってシロアリは食事。蟻の種類によっては主食としているということもあるそうです。自分たちの住まいの下で、蟻とシロアリはそのような関係性を持っていたとは驚きですよね。似通った形であっても片方にとっては餌食であるということが、この二種を別物と分ける大きな要因と言えます。
シロアリはなぜ木を食べるのか?
蟻の餌となることもあるシロアリですが、そのシロアリは私たちの大切な住宅を支える木材を食べてしまう存在です。なぜシロアリは木を食べてしまうのでしょうか。一言で言ってしまうと「シロアリにとっての食事」だからとなっていますが、シロアリが目的としているのは樹木に含まれる「セルロース」です。このセルロースを摂取し、糖分を得ることでシロアリは栄養を摂っています。しかし、セルロースは分解や消化のしにくい成分。シロアリは体内に分解を手伝う共生菌を持つことで、セルロースを消化できる数少ない珍しい生き物となりました。自然が失われつつある現在でも世界には無数の木材があり、住宅をはじめあらゆるものに使用されています。この木材を食べることが出来るシロアリはこの先も食事に困らず、食物をめぐる競争に巻き込まれる心配がありません。シロアリが今まで生き残り、これからも生きていくための進化や環境適応による結果として木を食事とする社会性を持った昆虫となったというわけです。
シロアリは自然界に欠かせない存在?
シロアリが食べるのは死んでしまった樹木です。この樹木をシロアリが食べて分解し、土壌に有機物として還元していく。これによって有機物の循環サイクルは機能します。そして、その木材(セルロース)を分解することが出来るシロアリは自然界にとって非常に貴重な存在です。もちろん役に立つためにそうなったわけではありませんが、いずれ住まなくなった家や捨ててしまった木材がまた新しい命やエネルギーに変わっていくなかでシロアリの力を知らず知らずのうちに借りているということもあるでしょう。
シロアリの好きな食べ物と嫌いな食べ物
少しずつシロアリにも愛着がわいてきた気がするので、思い切って「シロアリさん」に好物と苦手なものを聞いてみましょう。好きな食べ物が分かるとグッと距離が縮まりますよね。もちろんシロアリさんが好きな食べ物、苦手な食べ物のどちらも「木」なので、好きも嫌いも共感できる話ではありませんが。
シロアリの好きな木
・松の木(アカマツ、クロマツ) ・もみの木 ・ホワイトウッド など
シロアリの好きな木は柔らかさを特徴として持つものです。シロアリはどんな木でもむしゃむしゃといきますが、できれば食べやすいものが良いようです。顎が疲れてしまいますからね。
シロアリの嫌いな木
・檜の木 ・桧葉の木 ・杉の木 ・ローズウッド など
シロアリの嫌いな木は香りの強いものです。木材の持つ揮発性成分が空気中に発する「テルペン類」と呼ばれる香りを持つ木材をシロアリは好みません。また好きな木とは反対に固い木材も好んで食べません。余談ではありますが、私は花粉症なのでヒノキや杉が嫌いなシロアリさんとは奇しくも共通点が見つかってしまいました。
シロアリはどこに生息している?
シロアリの生息場所をイメージすると何となく腐ったり湿気てしまった木材の中にいる感じがしますよね。シロアリは木材を食べるので間違ってはいないのですが、通常は土の中で生活をする昆虫です。住宅の下やお庭の地中に暮らし、餌となる木を探して食事をする。そんな暮らしをシロアリたちはしています。
まとめ
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