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スレート屋根塗装時に大切な「縁切り」について
2021.2.10リフォームのコト
「縁切り」について
みなさん、こんにちは!
本日は屋根塗装時に行う補助的な施工の一つ「縁切り」についてお話いたします。縁切りというと、縁を切るという響きから寂しいイメージがありますが、屋根塗装時には重要なポイントです。
縁切りとは塗装後の屋根材の間に隙間を作る行為です。これにより屋根からの雨漏りを防ぐことが目的となります。カッターや皮すきで屋根材の隙間をふさぐ塗料を切るやり方が古くからおこなわれていましたが、現在はタスペーサーという部品を塗装前に屋根材の間に差し込み隙間を大きくとることで塗料によって隙間がふさがらないようにする作業が施工の一工程となっています。
従来の縁切り方法について
スレート屋根の構造と塗装を簡単に図式化すると容器のようになります。緑色の塗料が屋根材に段々にのり、隙間が空いていることが分かります。次に縁切りの方法についてみていきましょう。
上記画像の方法が主流の手法として以前多く行われていましたが、塗装後の屋根に行うため、きれいに仕上がった塗料を傷つける要因ともなり、屋根材に力を加えるため耐久性の低い屋根材では破損を招く危険性がありました。また、非効率な作業であったため、雨漏りを防ぐメリットとともに多くのデメリットを含んでいた点が悩みの種でした。
そこであらたに登場したのがタスペーサーを差し込む方法です。
タスペーサーを利用した縁切り
タスペーサーの登場によって作業効率が上がり、作業による傷や破損のリスクは大きく減少しました。部材は小さく、下塗り後に差し込み上塗りで一緒に塗り上げるため目立つことはありません。部材費用と取り付け費用がわずかですがかかる点が以前の方法に比べた際のデメリットになります。
ではなぜ縁切りが雨漏りの防止策となるのかを図と一緒に見ていきましょう。まずは屋根の構造についてです。スレート系の屋根材は見えている部分よりも実際は大きく一枚一枚を重ねるようにして葺いていきます。
屋根の重なりについて
スレートや金属屋根のような板状の屋根材は軒から棟に向けて貼り重ねていくため、下から上へと重ねるように設置していくことになります。このような設置方法をとるため、屋根は上から下へと段差を持つような造りとなります。
横から見た屋根の重なり
このように重なりを持つことで雨は上から下へ流れていき、また屋根材の下に入り込んだ雨水も防水シートの上を通り屋根材の隙間から排出されていきます。
縁切りされている屋根とされていない屋根の違い
次にご覧いただくのが縁切りされている場合とされていない場合の違いについてと何が起こるのかというところです。まずは細かな点ですが縁切りの有無の違いを断面で表した図をご覧ください。
上記の図の右側縁切りされていない場合には雨天時に屋根材の下に入り込んだ雨水が抜け出る隙間がありません。排出されない雨水は屋根材の下で溜まり、行き場を探して釘などの穴の隙間から内部に浸透していきます。この浸透した雨水が内部の構造を腐食させる原因や、雨漏りの原因となります。
また、隙間が不十分の場合、毛細管現象という現象が発生し、屋根材表面の雨水を隙間が吸い上げてしまうケースがあります。
屋根塗装時の縁切りやタスペーサーの使用の大切さはうまく伝わったでしょうか?縁切りは重要な工程ですが、必要のない屋根も存在します。例えば勾配が急な屋根は水はけがよく、塗料が隙間をふさぎにくいため、縁切りが必要のない場合があります。また、劣化などにより屋根材の反りが生じている場合は隙間が大きく開いているため、縁切りやタスペーサーは必要ありません(タスペーサーを差しても抜け落ちてしまいます)。そういったケースもありますので、屋根工事の際には専門家にしっかりと現調をしてもらいましょう!
それではさようなら!
屋根の塗装工事について、こちらのコンテンツもご参照ください。
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