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屋根勾配と屋根材の関係について

2023.11.27リフォームのコト

屋根勾配が屋根材に関係する!?

見出しの通り屋根材を選ぶ際には屋根勾配が大きく関係してきます。

軽量性や耐久性、金額にデザイン性など様々な要因で屋根材をはじめとした建材を皆様お選びになると思います。しかし、住宅には構造上などの要因により設置ができないものがあります。

屋根材ではその要因となるのが屋根勾配です。

屋根がどれくらい傾いているか?

屋根勾配とは屋根の傾きを数値化したもので屋根の角度を表しています。

とがった屋根や緩やかな屋根と見た目でわかるように屋根は多彩な形をしています。ビルのように四角い屋根(陸屋根)や体育館のような丸い屋根(蒲鉾屋根)などのケースを除くと、頂上を持った三角形のような傾きを持ったものが一般的に多くみられるでしょう。

屋根勾配は「寸」を単位に表記する「寸法勾配」と分数で表記する「分数勾配」、正確に傾きを角度で測る「角度勾配」と3つの表し方があります。

角度が一番わかりやすいように思われますが、建築業界では寸法勾配が一般的に用いられています。立面図を見ながらや実際の屋根の角度を測りながら「三寸」「四寸」と現場では声をかけられています。

屋根勾配と使用できる屋根材

屋根勾配と使用できる屋根材が変わる理由はさておき、まずはこの屋根材が使える?使えない?ということが気になりますよね。

上記の表のように勾配があがるほど選択できる屋根材は増えていきます。4寸以上の屋根であれば多くの屋根材を選択することができます。

しかし、屋根材によっては高所などの強風による影響が予想できる立地に立っている家には施工ができないといった条件を持つものがあります。そのため、屋根勾配はあくまでも施工範囲を決定する要因の一つであることに注意しなければなりません。

なぜ勾配がないと施工ができない?

勾配が小さな屋根はなぜ屋根材に限定があるのでしょうか。

その前にまず屋根勾配についてもう少しだけお話をすると、屋根勾配はその傾きの大きさによって3つに分類することができます。

緩勾配

緩勾配(かんこうばい)は三寸以下の勾配を指します。角度で表すと16.7°以下のものです。緩い勾配として称されていますが、もしこの傾斜角度の上限値である16.7°が坂道として目の前に現れた場合は見上げてしまうほどの上り路に見えて、思わず引き返してしまうでしょう。歩くのも自転車でも登りきるには大変に体力のいる角度。それもそのはず。三寸勾配(16.7°)の坂は100m水平に移動した際に30mの高さに位置しているほど大きなものです。しかし、屋根では緩い角度と分類されていることから屋根には勾配が必要不可欠であるということがわかります。

並勾配

おおよその住宅の屋根が含まれる並勾配(なみこうばい)は三寸(16.7°)から五寸(26.6°)の傾斜を持つ屋根です。多くの屋根材を選ぶことができる四寸も含まれており、標準的な勾配ということができます。そのためメンテナンスなども含めてとても扱いやすく、トラブル発生時にもサポートがしやすい屋根ということができます。五寸ともなると約26.6°の角度となるためかなりの急斜面です。スキー場で上級者コースと銘打っているところは25°以上の角度があるようです。雪面の白さが角度や距離の感覚をあいまいにさせてしまうということもありますが、上級者コースはまるで崖のように感じてしまう人も多いでしょう。

急勾配

急勾配は六寸以上の傾斜を持つ屋根で、その角度は31°以上になります。洋館のようにとがった屋根などはこの急勾配に分類がされます。角度の高い屋根は建物全体の高さを上げるため、格式の高い建築物などに用いられています。もちろん一般住宅でも急勾配の屋根が設計されていることはあります。

勾配は雨水を流し、積雪を下ろすためにあります。

屋根は雨や雪を流す役割を持っています。雨や雪が屋根上にとどまると、徐々に水分が浸透していく恐れがあります。簡単に言ってしまえば屋根の勾配次第では雨漏りの危険性があるということです。勾配が自然にその流れを作ることによって建築物を守っているということです。

川の流れが角度によって違うように屋根もその角度によって、雨や雪が流れ落ちる速度が違います。そして、屋根材もその材質や作りによって雨の流れやすさが違います。この「勾配」×「屋根材」の関係性で雨が流れにくくなるのを防ぐために、最低基準となる角度が屋根材ごとにきまっているため、施工ができない場合が出てくるということです。

勾配は大きいほどいい?

「どっちがいいの?」という質問は屋根勾配に限らずあらゆるジャンルで頻出しますが、この場合もほかのそれらと同じように「普通がいい」または「中間がいい」という答えになると思います。もちろんデザイン性などの好みを基準にした場合は答えが異なりますが、建築物としての耐久性とメンテナンス性をバランスよく持つ一般的な勾配である「並勾配」がベターではあります。続いて勾配毎のメリットとデメリットを見ていきましょう。

勾配によるメリットとデメリット

上記の表に勾配ごとのメリットとデメリットをまとめています。

この中で屋根面積と小屋裏面積について勾配との関係をさらに図式したものが下記のものです。

屋根勾配によって屋根の頂上部の高さが上がり、それに応じて屋根の頂上方向への長さが伸びます。

水平方向の長さ(固定)2×高さ(任意)2=斜線の長さ

三角関数で表す上記の式によって屋根の長さ(上記式でいう「斜線の長さ」)が決まります。これにより、面積が大きくなるということです。またこの面積を求める際は屋根勾配係数といって、屋根の勾配に応じた係数をかけることで屋根の面積を簡単に導く定数が定められています。また小屋裏の面積は高さが伸びることによって、長さ×高さの式によって比例関係を示します。

まとめ

勾配の大きさが屋根材の選択に与える影響について、今回の記事でまとめました。屋根勾配に関しては関連記事でもう少し詳しくお話ししていますので、お時間があればそちらもぜひ一読いただけますと幸いです。

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